用語集
来歴区分表で使う言葉の定義です。規格 v0.17 の本文から、実務で参照されることの多いものを抜き出しました。正確な定義は規格全文をご覧ください。
CORE
基本の言葉
- 来歴provenance
- 作品がどう作られたかの記録と、その申告。この規格では、生成AIをどれだけ使ったかを区分A〜Eで、その申告がどれだけ確かめられているかを水準V0〜V4で表します。
- 区分class
- 作品に付く指標。生成AIをどれだけ使ったかをA〜Eで表し、作った人が作品ごとに申告します。同じ人でも作品ごとに区分は変わります。区分を人に付けてはいけません。「区分Aの作家」のようなレッテル貼りは、AIを使うことの善し悪しを決めないというこの規格の立場に反します。
- 水準verification level
- 作った人に付く指標。区分の申告がどれだけ確かめられているかをV0〜V4で表します。確かめるのは作品1点ずつではなく、その人が制作の記録を残す仕組みを持っているかです。V2以上は1年ごとに更新し、更新しないとV1に下がります。
- 証跡record / evidence
- 申告を裏づける制作の記録。仕組みの記録(記録の残し方を書いたルール、使っている道具と設定の一覧、保管の期間)と、作品ごとの記録(ラフ、レイヤーを分けたデータ、作業履歴、写真のRAWとExif、生成AIの使用記録など)の2種類があります。
CLASS
区分 A〜E
生成AIをどれだけ使ったか。A〜Eに優劣はありません。「生成AIをどれだけ使ったか」の順序であって、良し悪しの順序ではありません。
- 区分A ── 生成的関与なし
- 生成AIを使っておらず、AIが作ったものが作品に一切入っていない状態。生成・非生成を問わず、AI機能を使っていません。
- 区分B ── 非生成的補助のみ
- AIは使ったが、もとからあったものを整えただけで、新しい中身は作られていない状態。誤字脱字の自動チェック、ノイズ除去・超解像・手ブレ補正、被写体の自動選択・背景の切り抜き、線画の自動整え、音声の文字起こしなどが該当します。
- 区分C ── 従属的生成
- AIが作ったものが入っているが脇役にとどまる状態。または参考にしただけで作品には残っていない状態。生成された部分を取り除いても作品として成り立ちます。
- 区分D ── 主要部分の生成+実質的改変
- 作品の主な部分をAIが作り、そこに人が作品と呼べるだけの手を入れた状態。生成部分を取り除くと作品として成り立ちません。
- 区分E ── 全面的生成
- AIが作ったものがほぼそのまま作品になっている状態。切り抜き、色味の調整、軽微な直し、一部の消去は「整えただけ」であり、区分はEのままです。
迷ったときは、下ではなく上の区分を選びます(CかDで迷ったらD)。低い申告は嘘になりますが、高い申告は嘘になりません。
LEVEL

検証済(V3・V4)— 淡琥珀地・角マーカー・「検証済」の3つで表します

自己申告(V1・V2)— 白地・マーカーなし・「自己申告」
水準 V0〜V4 と W
- 水準V0 ── 開示なし
- 区分の申告自体をしていない状態。
- 水準V1 ── 自己申告
- 確かめていない状態。本人が区分を申告しているだけ。いま誰でも使える状態がこれです。
- 水準V2 ── 記録あり
- 本人が、決められた記録を残すと宣言し、抜き取りの確認に応じると同意した状態。確かめるのは本人+抜き取り確認です。
- 水準V3 ── 第三者が確認
- その人の記録の残し方を、認定を受けた検証員が確かめた状態。作品を確かめるのではありません。
- 水準V4 ── ずっと確認
- 制作環境をいつでも確かめられる状態にし、継続して確認している状態。検証員+システム連携で行います。
- W ── 個別作品検証
- 特定の1作品だけを第三者に確かめてもらう追加の手続き。書き方の例:来歴 B-V3(W)
WはV0〜V4の順番の外にあります。「いちばん上の認証」ではありません。規格では、表示する場所と発注する人がWの有無を理由に作った人を不利に扱うこと、募集要項で「W必須」を一律に求めることを禁じています。Wが当たり前になると作品1点ごとに費用がかかる状態が固定され、費用を払えない人が仕事から締め出されるためです。
ROLES
この規格に出てくる人たち
- 作った人
- 作品を作り、区分を申告する人。個人でも会社でもかまいません。
- 検証員
- 作った人の記録の残し方を確かめる人。運営団体の認定を受けます。確認をできるだけ作った人の環境で行い、送ってもらう量を最小限にすること、預かった記録をAIの学習に使わないことが定められています。
- 運営団体
- この規格にもとづく確認や登録のしくみを運営する団体。規格はCC BY 4.0なので、どの団体でも運営できます。複数あってかまいません。登録に至らなかったことを公表してはいけません。
- 表示する場所
- 作品と一緒にマークを表示するウェブサイトやサービス(投稿サイト、販売サイトなど)。区分と水準を必ず対で表示する義務を負います。→ 実装ガイド
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関連する技術
- C2PA / Content Credentials
- コンテンツの制作・編集の来歴をファイルに記録し、暗号署名で検証する国際的な技術仕様。来歴区分表では有力な記録として使えますが、必須ではありません。対応していないソフト、手描きやアナログの制作、複数の道具をまたぐ作り方を締め出さないためです。
- Originator Profile
- 発信者(組織)の実在性・属性をエンドユーザーが検証できるようにする国産の技術。主にWeb上の静的テキストと広告を対象とします。
三つの層の違い
Originator Profile は「誰が出したか」、C2PA は「どう作られたか」、来歴区分表は「本人が何を申告し、それが記録と整合するか」を扱います。層が違うので競合しません。→ 詳しくはこちら