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実装ガイド v0.2

作品投稿プラットフォーム、販売マーケットプレイス、受発注サービス、電子書籍ストアなどで来歴表示を実装する事業者向けのガイドです。実装に許諾・契約・費用は不要です。

文書ID: IMPL-PROV-001 2026-08-04 改訂 プラットフォーム・サービス事業者向け CC BY 4.0
版の対応についてのお断り。本ガイド v0.2 は規格 v0.10 に対応して書かれたものです。規格はその後 v0.14 に更新されています。条文の参照番号や一部の文言が現行版とずれている箇所があります。次回改訂で v0.14 に対応させます。正確な定義は規格全文をご参照ください。

とくに v0.14 で水準V0の扱いが変わりました。V0 をバッジや印として画面に表示してはいけません。表示のない作品に「V0」と記すこと、V0での絞り込みや一覧を設けることも同じです。データの値として V0(未表示)を持つことは構いませんが、画面には出さないのが正しい実装です。あわせて、水準を持たないことだけを理由に、下に表示したり検索から外したりしてはいけません。詳しくは規格 v0.14 の「水準の扱いについて」をご覧ください。

とくに §4.1 の「水準の色:V3・V4 のみ緑系(#2D7D6A)」は現行の配色ではありません。現行のデザイン規程 v0.4 では、検証済(V3・V4)を淡琥珀の地色・角マーカー・「検証済」の文言の3つで冗長に符号化し、色だけでは区別しない設計に変更しています(色覚特性に依存させないため)。実装するときは、§4.1 に掲載しているバッジの実物に合わせてください。

1. このガイドの対象

作品投稿プラットフォーム、販売マーケットプレイス、受発注サービス、電子書籍ストアなどで、来歴区分表に基づく表示を実装する事業者向けのガイドです。

実装に許諾・契約・費用は不要です。 本ガイドどおりに実装したうえで「来歴区分表 v0.10 準拠」と表示できます。ただし §6 の遵守事項に反する実装は準拠を名乗れません。

1.5 実装前に理解すべき構造 —— 表示は作品に、検証は作者に

データモデルを設計する前に、この構造を把握してください。

単位 どこに紐づくか
区分(A〜E) 作品 投稿・商品・記事などのコンテンツレコード
水準(V0〜V4) 制作主体 ユーザー/出品者/法人アカウント

来歴 B-V3 は「区分Bの作品を、水準V3の体制にある作者が申告した」という意味です。

したがって実装上は、水準はユーザーテーブルに、区分はコンテンツテーブルに持つのが正しい配置になります。区分をユーザーに持たせてはいけません(「区分Aの作家」というラベリングは規格違反です)。

作者の体制認証が失効・取消された場合、その作者の全コンテンツの表示を停止する必要があります(§5.2)。

2. 実装レベル

段階的に導入できます。L1 だけでも規格準拠です。

レベル 内容 実装コスト
L1 投稿時に区分(A〜E)を任意申告させ、来歴 X-V1 として表示 コンテンツ側に1項目+バッジ表示
L2 ユーザー側に、記録を残す宣言と抜き取り確認への同意のフローを追加(V2) ユーザー属性+同意管理+規約改定
L3 検証機関連携。作者の体制認証を照会し、失効時に表示停止(V3・V4) API連携+失効処理(§5)

3. データモデル

3.1 コンテンツ側 — 区分の申告

{
  "provenance_declaration": {
    "version": "0.10",
    "class": "B",
    "declared_at": "2026-08-15T09:30:00+09:00",
    "breakdown": [
      { "part": "人物", "class": "A" },
      { "part": "背景", "class": "D" }
    ],
    "work_verification": null
  }
}

work_verification は個別作品検証(W)を受けた場合のみ値を持ちます。

3.2 ユーザー側 — 体制認証

{
  "provenance_certification": {
    "level": "V3",
    "ref_id": "RK-7K2M4Q8P",
    "certified_at": "2026-09-01",
    "expires_at": "2027-09-01",
    "verifier_org": "来歴標準プロジェクト",
    "lookup_url": "https://(照会URL)/RK-7K2M4Q8P",
    "status": "valid"
  }
}

V1(体制認証なし)の場合、このオブジェクトは存在しないか level: "V1" のみを持ちます。

3.3 表示値の合成

来歴 B-V3

  • Bコンテンツ側の class
  • V3ユーザー側の level

3.4 制約

フィールド 所属 制約
class コンテンツ AE の1文字。必須
breakdown コンテンツ 任意。存在する場合、class は breakdown 中の最上位区分と一致しなければならない
work_verification コンテンツ 個別検証(W)を受けた場合のみ。表示は 来歴 B-V3(W)
level ユーザー V1V4。省略時は V1 とみなす
ref_id ユーザー level が V2以上のとき必須
expires_at ユーザー V2以上は年次更新。期限超過時は V1 に降格して表示

バリデーションの要点は2つです。

  1. level が V2以上なのに ref_id が無い状態を作れないようにする。 規格上の不正表示のほぼ全てがこのパターンです
  2. expires_at を過ぎた体制認証を V2以上として表示し続けない。 日次バッチまたは表示時判定のいずれかで降格させてください

4. 表示仕様

4.1 バッジ

来歴 B-V3 検証済バッジの表示例
検証済(V3・V4)の表示例。シンボル/「来歴」/区分-水準/水準ラベル の4セグメント構成
来歴 A-V1 自己申告バッジの表示例
自己申告(V1・V2)の表示例
  • 区分と水準は必ず対で表示します。区分のみの表示は規格違反です
  • 水準ラベル: V1=自己申告/V2=記録あり/V3=第三者が確認/V4=ずっと確認
  • 水準の色: V3・V4 のみ緑系(#2D7D6A)。V1・V2 に緑系を使用してはいけません(検証済との誤認防止)
  • SVGアセット(バッジ・シンボル)は無償配布します

4.1.5 個別作品検証(W)の表示

work_verification が存在する場合、中央セグメントを B-V3(W) のように拡張して表示します(badge_{区分}-{水準}-W.svg)。

Wは上位水準ではありません。 実装上、以下を守ってください。

実装
✅ すべきこと Wは水準の付記として、同一セグメント内に小さく表示する
❌ してはいけないこと Wを独立したバッジ・別色・アイコン等で強調する
❌ してはいけないこと Wの有無で並び順・検索順位を変える
❌ してはいけないこと 検索フィルタに「W付きのみ」を独立した絞り込み条件として設ける
❌ してはいけないこと 「最上位認証」「プレミアム認証」等と説明する

理由:Wが常態化すると1作品ごとに検証費用(¥30,000規模)が発生する状態が固定され、費用を負担できない制作者が排除されます。二層構造にして検証コストを年次償却した設計意図が失われます。

発注・募集機能を持つプラットフォームでは、「W必須」を発注テンプレートの既定値にしないでください。 案件ごとに発注者が明示的に選択する形にしてください。

4.2 一覧・検索での扱い

  • 区分によるフィルタ機能の提供は任意です。提供する場合、全区分を対等に扱ってください
  • 特定の区分をデフォルトで非表示にする、検索結果から除外する、一覧で視覚的に劣後させる実装は、規格準拠を名乗れません(区分表 第3部)
  • 未申告(V0)の作品に不利益を与えないでください。開示は任意です
  • Wの不存在を理由に劣位表示・検索除外をしないでください(§4.1.5)

4.3 文言

使用可 使用不可
「区分B・検証済(V3)」 「AI不使用」「Human-Made」
「制作来歴が開示されています」 「本物」「真正」「認証済みの手描き」
「自己申告です(V1)」 V1表示への「確認済」等の文言

5. 検証照会API(L3・ドラフト)

検証機関側が提供予定のインターフェース案です。v0.9 時点では未提供であり、仕様への意見を募集しています。

5.1 体制認証の照会

来歴 B-V3 / 2026-08 / RK-7K2M4Q8P

  • B-V3区分と水準
  • 2026-08水準を確かめた年月
  • RK-7K2M4Q8P照会番号(水準が有効か確かめられます)

照会するのは作者の体制認証であり、作品ではありません。作品ごとに照会する必要はなく、ユーザー単位で定期的にポーリングすれば足ります。

  • 照会APIは作品や制作者の個人情報を返しません。返すのは体制認証の有効性のみです
  • 認証の不存在は照会できません(不認証の非公表原則。区分表 第2部)

5.2 失効時の処理(必須)

status 意味 プラットフォームが行うこと
valid 有効 通常表示
lapsed 更新切れ 当該作者の全コンテンツV1 表示に降格
revoked 虚偽判明による取消 当該作者の全コンテンツのバッジ表示を停止

revoked の連鎖処理が本規格の抑止力の源泉です。 1点の虚偽が作者の全作品の表示停止を招く設計であり、この処理を実装しないプラットフォームは準拠を名乗れません。

6. 遵守事項(準拠表示の条件)

  1. 区分と水準を対で表示すること
  2. V1・V2 を検証済と誤認させる表示をしないこと
  3. 特定区分の排除・劣後をしないこと
  4. 「AI不使用」等の保証的文言を併記しないこと
  5. 申告データを本人の同意なく AI 学習に利用しないこと
  6. 作者に区分(A〜E)を表示しないこと。 区分はコンテンツにのみ紐づく
  7. 体制認証の失効・取消時に、当該作者の全コンテンツ表示を停止・降格すること(§5.2)
  8. Wを上位水準として表示・説明せず、Wの不存在を理由とした不利益を与えないこと(§4.1.5)
  9. 出典表示:来歴区分表 v0.10 / 来歴標準プロジェクト (CC BY 4.0)

7. 移行ガイド:既存の自己申告バッジからの対応表

既に独自の申告機能を持つ場合の対応例です(3段階方式からの変換)。

既存表示(例) 来歴区分表(コンテンツ側)
AI不使用 区分A または B の V1 ※
AI補助 区分B または C の V1
AI生成 区分D または E の V1

※ 「AI不使用」は本規格ではA/Bの2区分に分かれます。校正・ノイズ除去等の非生成的補助を使っている場合はBです。既存データの一括変換では利用者に再申告を促すことを推奨します(Bに該当する制作者がAのまま残ると、本人が虚偽申告状態に置かれるため)。

8. よくある質問

Q. 実装したら「認証」になりますか? なりません。L1・L2 は自己申告(V1・V2)の表示です。検証(V3以上)は検証機関の稼働後に L3 連携で可能になります。

Q. 作品ごとに検証機関へ照会する必要がありますか? ありません。照会するのは作者の体制認証であり、ユーザー単位で定期的に確認すれば足ります。作品数に比例したAPI呼び出しは発生しません。

Q. 同じ作者の作品で区分が毎回違いますが、問題ありませんか? 問題ありません。それが正常です。区分は作品ごとに変わるものとして設計されています。

Q. W付きの作品を優先表示したいのですが。 規格違反になります。Wは上位水準ではなく、例外的な状況のための追加手続です。優先表示はWの常態化を招き、費用を負担できない制作者を排除します(§4.1.5)。

Q. 区分の判定に迷った利用者にどう案内すべきですか? 区分表本文の判定基準(B/C・C/D・D/Eの境界)へのリンクと、「迷った場合はAIの関与が大きいほうの区分を申告する」原則を案内してください。

Q. 独自の区分を追加できますか? CC BY なので改変は自由ですが、改変した場合は「準拠」ではなく「来歴区分表 v0.10 を基に改変」と表示してください。区分の互換性が失われるためです。


改訂履歴

日付 内容
v0.1 2026-08-04 初版ドラフト(規格 v0.9 対応)
v0.2 2026-08-04 策定主体の呼称を「来歴標準プロジェクト」に変更。規格 v0.10 対応。データモデルをコンテンツ側/ユーザー側に分離。失効時の連鎖処理とWの濫用防止を必須化
来歴区分表 v0.17 / 来歴標準プロジェクト (CC BY 4.0) 運営:JumpStack株式会社