よくある質問
来歴区分表について寄せられる質問と回答です。ここに無いことは contact@jumpstack.co.jp までお寄せください。規格は意見募集中です。
考え方について
来歴区分表は「AIを使っていないこと」の証明ですか?
いいえ。この規格では、出来上がった作品を見てAIかどうかを見分けることは一切しませんし、勧めもしません。見るのは、作った人の申告と制作の記録が食い違っていないか、それだけです。
「AI不使用」という表示も使いません。証明できないことを掲げると、後で覆されたときにいちばん損をするのは掲げた本人だからです。詳しくは手描きなのにAI生成だと疑われたときをご覧ください。
区分(A〜E)と水準(V0〜V4)は何が違うのですか?
区分は作品に付きます。生成AIをどれだけ使ったかを、作った人が作品ごとに申告します。同じ人でも作品ごとに区分は変わります。
水準は作った人に付きます。その申告がどれだけ確かめられているかを表します。
表示は必ず対にして 来歴 B-V3 のように書きます。区分だけを単独で表示するのは、この規格に沿った表示ではありません。
なぜ作品ではなく、作った人を確かめるのですか?
作品を1点ずつ第三者が確かめる方法では、費用が合わないからです。仕事として作っている人は月に何十点も納品します。
そこで、その人が制作の記録を残す仕組みを持っているかを確かめ、その裏づけのもとで作品ごとの区分を本人が申告します。食品のHACCPやISO 9001と同じ考え方です。製品を1個ずつ検査するのではなく、作り方の仕組みを確かめて、その裏づけのもとで製品に表示します。
区分Eは悪い区分ですか?
いいえ。区分A〜Eに優劣はありません。区分は「生成AIをどれだけ使ったか」の順序であって、作品の良し悪しの順序ではありません。全部AIで作った作品にも、同じように来歴はあります。
規格では、区分Eを差別する表示や、検索から外すことを禁じています。
嘘の申告をするとどうなりますか?
取り消されるのはその人の水準です。その人のすべての作品の表示が、いっぺんに止まります。
1点ごまかすと全部失う仕組みにすることで、申告が信用に足るようにしています。
使い方について
誤字脱字のチェックにAIを使いました。区分Aですか?
区分Bです。区分Aは、生成・非生成を問わずAI機能を一切使っていない場合を指します。
誤字脱字の自動チェック、ノイズ除去、被写体の自動選択、線画の自動整えなどは、もとからあったものを整えただけで新しい中身は生まれていないため、区分Bになります。作業別の早見表はAIを一部だけ使ったとき、どう書くかにあります。
どの区分か迷ったときは、どうすればいいですか?
AIの関与が大きいほうの区分を選んでください。AからEへ向かって、生成AIの関与は大きくなります。CかDで迷ったらD、DかEで迷ったらEです。関与を小さく申告すると嘘の申告になりますが、大きく申告しても嘘にはなりません。
順にたどれるA4一枚の判定フロー図(PDF)も配布しています。
プロフィールに区分を書いてもいいですか?
いけません。区分は作品に付くもので、作った人には付きません。「区分Aの作家」のような表示はレッテル貼りになり、AIを使うことの善し悪しを決めないというこの規格の立場に反します。
プロフィールに書けるのは水準(V0〜V4)だけです。
1つの作品に複数の区分が混ざるときは?
関与がいちばん大きい区分を全体の区分として申告し、必要なら内訳を書き添えます。書き方の例:来歴 D-V1(人物:A/背景:D)
投稿サイトの申告欄と、区分A〜Eはどう対応しますか?
サービスごとに切っている軸が違うため、単純な一対一にはなりません。小説家になろう、カクヨム、pixiv、DLsite、ココナラ、ランサーズ、Steam、YouTube の対応の目安をプラットフォーム別のAI申告に整理しました。
各サービスに申告するときは、そのサービスの定義が優先します。
W とは何ですか? いちばん上の認証ですか?
違います。Wは特定の1作品だけを第三者に確かめてもらう追加の手続きで、水準V0〜V4の順番の外にあります。「V4の上」でも「V3の強化版」でもありません。
規格では、表示する場所と発注する人がWが付いていないことを理由に作った人を不利に扱うことを禁じています。また、募集要項で「W必須」を一律に求めることも禁じています。Wが当たり前になると作品1点ごとに費用がかかる状態が固定され、費用を払えない人が仕事から締め出されるためです。
費用と、いまの状況
費用はかかりますか?
規格そのものは CC BY 4.0 で公開しており、読むことも使うことも無料です。出典を書けば、書き換えても商売に使ってもかまいません。
第三者による確認(水準V3以上)のしくみはまだ動いていません。現時点で費用の発生する手続きはありません。
今すぐ使えますか?
区分の申告と、記録を残すことは今日から始められます。第三者の確認を受けていない状態は水準V1(自己申告)なので、来歴 B-V1 のように書けます。
認証・検証のしくみは動いていません。動いていないものを「準備中」とも書きません。約束になるからです。
自分のサービスやルールに組み込めますか?
誰が作っているのですか?
来歴標準プロジェクト(運営:JumpStack株式会社)です。
規格はCC BY 4.0で公開しているため、この規格にもとづく確認や登録のしくみは、どの団体でも運営できます。複数あってかまいません。囲い込むと分断され、共通の言葉にならないからです。
まだ決めていないこと
C2PA(Content Credentials)とは何が違いますか?
C2PAは機械がファイルに来歴を記録し、暗号署名で検証する技術です。来歴区分表は人の申告と記録の整合を確かめる枠組みです。層が違うので競合しません。
C2PAは有力な記録として使えますが、必須ではありません。対応していないソフト、手描きやアナログの制作、複数の道具をまたぐ作り方を締め出さないためです。詳しくはC2PA・Originator Profileとの関係をご覧ください。
学習データの来歴は扱いますか?
v0.17では扱っていません。無断で学習したモデルを使うことは大きな関心事ですが、使う側から確かめる方法がありません。別の軸として作るか、任意の書き添えにするか、対象外にするかを決めきれていない状態です。意見募集中の論点のひとつです。
手描きやアナログの制作では、何を記録にすればいいですか?
これも意見募集中の論点です。現在の記録の一覧はデジタル制作を前提にしており、絵画・工芸・フィルム写真などに十分対応できていません。
実際に制作されている方からのご意見を求めています。
絵以外(文章・音楽・翻訳・プログラム)でも使えますか?
区分A〜Eの考え方は分野を選びません。ただしCとDの分かれ目が、絵以外では十分に詰められていません。これも意見募集中の論点です。
小説投稿サイトの申告欄との対応はプラットフォーム別のAI申告にまとめています。
コンテスト・公募を主催される方は、募集要項の「生成AIの扱い」文例集を主催者向けページで配布しています。
賛否・実務での困りごと・規格の穴のご指摘、いずれも歓迎します。