プラットフォーム別のAI利用申告と、
区分A〜Eの対応
投稿先ごとに、聞かれ方も選択肢の名前も違います。同じ作品なのに、あるサイトでは「補助的利用」、別のサイトでは「一部利用」になる。ここでは各サービスが何を求めているかを整理し、区分A〜Eとの対応の目安を示します。
なぜサービスごとに違うのか
各サービスの区分は、そのサービスで起きている問題に合わせて作られています。小説投稿サイトは「本文がAIで書かれたか」を見たいので本文への入り方で切り、イラスト投稿サイトは「作品全体がAI生成か」を見たいので制作プロセス全体の割合で切ります。ゲーム配信プラットフォームは「プレイヤーが体験するコンテンツか、開発の裏側か」で切ります。
どれも間違っていません。ただ、作る側から見ると、同じ作品を出す先ごとに毎回考え直すことになります。来歴区分表は、この横断の物差しとして使えるように作られています。
各サービスに申告するときは、そのサービスの定義が優先します。以下の対応は「自分の作品がどのあたりか」を考えるための目安であって、各社の判断を置き換えるものではありません。迷ったら各社のガイドラインを読み、それでも迷ったら上位(重いほう)を選んでください。
小説投稿サイト
小説家になろう
2026年6月から、AI利用状況の設定が新規投稿で必須になりました。既存作品も2026年9月1日から必須です。虚偽の設定は禁止されており、実際と異なる区分の設定は運営対応の対象になります。
| なろうの区分 | なろうの説明 | 区分A〜Eの目安 |
|---|---|---|
| AI不使用 | 構想・プロット・執筆・校正のすべてで一切AIを使っていない | A |
| AI補助的利用 | アイデア出し・資料調査・誤字脱字チェックなど、本文執筆そのものに関与しない補助的な利用 | B〜C |
| AI間接利用 | 作者自身の表現に置き換えるための下書きや素材として間接的に利用。全編集・改稿が条件 | C〜D |
| AI直接使用 | AIが生成したテキストをそのまま直接使用している箇所がある(連続する文章のまとまりが対象、単一文は除く) | C〜E |
幅があるのは、切っている軸が違うからです。なろうは「本文にどう入ったか」、来歴区分表は「生成が起きたか → その部分を取り除いても作品として成り立つか → 人の手入れが新しい創作と言えるか」で切ります。
- 誤字脱字チェックだけなら、なろうでは「補助的利用」、来歴ではBです
- アイデア出しに使ったが出力は本文に残っていないなら、なろうでは「補助的利用」、来歴ではC(参考にしただけ)です
- AI下書きを全面改稿したなら、なろうでは「間接利用」、来歴では手入れの程度でC〜Dです
- 生成文をそのまま使った箇所があるなら、その部分が脇役ならC、主要部分に人の手が入っていればD、ほぼそのままならEです
「補助的利用」と「間接利用」の分かれ目
いちばん迷うところです。なろうの定義そのものに沿って読むと、切れ目は「AIが書いた文字列が、本文に残っているか」の一点です。
| AI出力の残り方 | なろうの区分 | 言い換えると |
|---|---|---|
| 本文に一切残っていない | 補助的利用 | アイデア出し、資料調査、誤字脱字チェック。出力は本文に入っていない |
| 下敷きにしたが、全部書き直した | 間接利用 | AIの下書き・素材を、自分の表現に置き換えきった。全編集・改稿が条件 |
| そのまま残っている箇所がある | 直接使用 | 連続する文章のまとまりが生成のまま。単一文だけなら対象外 |
「AIの出力を全部消したら、本文は変わりますか」
変わらない(=もともと本文に入っていない)なら補助的利用。変わるなら、その文がAIの書いたままかどうかで間接利用か直接使用かが決まります。
「全編集・改稿が条件」を軽く見ないでください。間接利用は「下書きを使ったが自分の表現に置き換えた」という申告です。置き換えきれていない箇所が残っていれば、なろうの定義では直接使用にあたります。虚偽の設定は運営対応の対象とされているので、迷ったら重いほうを選ぶのが安全です。
カクヨム
3種類のタグの利用を推奨しています(コンテスト応募時は必須)。割合で切っているのが特徴です。
| カクヨムのタグ | カクヨムの説明 | 区分A〜Eの目安 |
|---|---|---|
| AI補助利用 | AIのアイデアや資料をもとに作者自身が書いた。または自分が書いた文章の校正をAIに行わせた | B〜C |
| AI本文一部利用 | 本文の一部(目安50%未満)がAI生成、またはそれに軽微な修正を加えたもの | C〜D |
| AI本文利用 | 本文の大半(目安50%以上)がAI生成、またはそれに軽微な修正を加えたもの | E |
「軽微な修正」は来歴区分表でも人の創作的表現には達していないと扱うため、カクヨムの「AI本文利用」は来歴のEにほぼ一致します。なお検索サービスの補助機能やドキュメントソフトの自動校正は「AI補助利用」に該当しないとされています。この部分は来歴区分表ではBに入ります。
出典:カクヨム「作品投稿に生成AIを利用している方へ、推奨タグ利用のお願い」
イラスト・同人・EC
| サービス | 求めていること | 区分A〜Eの目安 |
|---|---|---|
| pixiv | 投稿時に「AI生成作品」を自己申告。対象は制作プロセスの全部または大部分がAIによって実行された作品。2026年3月の改定で、作品内容と一致しない設定(=虚偽申告)が明示的に禁止行為になった | D〜E |
| DLsite・BOOTH | AI生成作品の申告・タグ付け。作品ページでの明示を求める運用 | C〜E |
| コミティア | 生成AIを使った作品は原則禁止。表紙がAIイラストの文芸作品も不可 | Aのみ受付 |
| ココナラ | AI技術を使用した出品についてのスタンスを公開。出品時の説明での明示を求める | B〜E |
| ランサーズ | 申告ではなく発注側の設定。依頼作成時に生成AIの使用許可・制限を選べる | 案件ごとの条件 |
pixiv の「大部分がAI」という基準は、来歴区分表のDとEにあたります。背景だけAI(区分C)はpixivのAI生成フラグの対象外と読めますが、判断が分かれるところなので、説明欄に来歴の区分と水準を書いておくと誤解を避けられます。
コミティアのようにそもそもAI利用作品を受け付けない場をどう扱うかは、来歴区分表の範囲外です。この規格はAI利用の善し悪しを決めないので、受け付けるかどうかは各主催者の判断です。
ゲーム・動画
| サービス | 求めていること |
|---|---|
| Steam | 生成AIの使用開示。2026年1月に定義が厳密化され、「ゲームに含まれていてプレイヤーが体験するコンテンツ」に使ったかどうかが基準になった。開発の裏側での利用とは区別する |
| YouTube | 実在の人物・場所・出来事と見間違われる可能性のある合成コンテンツの開示。自己申告に加え、プラットフォーム側の検出も併用 |
Steam の「プレイヤーが体験するコンテンツか、開発の裏側か」という切り方は、来歴区分表の「作品に残ったか、残っていないか」と考え方が近いものです。開発の裏側でだけ使った場合は、来歴区分表でもCの後半(参考にしただけで作品には残っていない)に近い扱いになります。
横断して使うときの書き方
複数のサービスに同じ作品を出すなら、次の順で考えると迷いが減ります。
- まず来歴区分表で1回だけ判定する。判定フロー図を順にたどれば、区分A〜Eのどれかに落ちます
- 各サービスの選択肢に読み替える。上の対応表を使います。幅があるときは重いほうを選びます
- 説明欄には来歴の表記も添える。サービスの選択肢は粗いので、来歴の区分と水準を一行足しておくと、実際に何をしたかが正確に伝わります
来歴 C-V1(自己申告)
背景の一部に画像生成AIを使用。人物・線画・着彩は手描きです。
具体的な文例はAIを一部だけ使ったとき、どう書けばいいかにまとめています。